でん粉
生でん粉
でん粉は植物の光合成で作り出され、種子・根茎・果実にエネルギー源として蓄えられます。
でん粉の粒子は、ぶどう糖が直鎖状に連鎖したアミロースと、枝分かれしたアミロペクチンから構成されています。それぞれの植物によりその比率に違いがあり特性(食感、粘性、老化等)が異なります。
一般的な穀物でん粉にはアミロースとアミロペクチンが1:4の比率で含まれていますが、糯(モチ)種である“もち米”、“ワキシーコーン”等のでん粉はアミロペクチンだけで構成されています。このため、食品に使用した場合、独特の食感(モチモチ感)を付与します。

- でん粉の特徴
品名 | コーン | ワキシー コーン |
ポテト | タピオカ | 小麦 | 米 |
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粘度 | 中 | 中 | 特高 | 高 | 低 | 中 |
食感 | ショート | ロング | ロング | ロング | ショート | ショート |
透明性 | 不透明 | 透明 | 透明 | 透明 | 白濁 | 不透明 |
老化速度 | 速 | 遅 | やや遅 | 遅 | 速 | 速 |
アミロース 含量 |
26% | 0% | 20% | 17% | 24% | 17% |
糊化温度 | 62〜72℃ | 63〜72℃ | 56〜66℃ | 59〜70℃ | 52〜63℃ | 61〜78℃ |
平均粒径 | 15μm | 15μm | 30〜40μm | 2〜40μm | 2〜40μm | 2〜5μm |
加工でん粉
生でん粉に物理的な処理を施し、特性を改良したものです。
物理処理にはアルファー化、湿熱、油脂加工などがあります。
これらの処理により耐熱・耐老化性付与、食感改良など、通常のでん粉には無い特性が付与されます。
- 加工でん粉の特徴
処理方法 | アルファー化 | 湿熱 | 油脂加工 | |
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でん粉 種類 |
コーン、ワキシーコーン、タピオカ | コーン | ハイアミロースコーン | コーン、ワキシーコーン、タピオカ |
効果 | 製造行程削減による生産効率上昇 | 耐熱、耐老化、耐機械性の向上 | 天ぷら衣のクリスピー感 | 揚げ物の衣と具材の結着性向上 |
主な用途 | 豆菓子、米菓、落雁、製菓原料 | フラワーペースト、フィリング、ソース、タレ、クッキー、ケーキ | 天ぷら、から揚げ | 打ち粉、バッター |
化工でん粉
生でん粉に化学的な処理を施し、特性を改良したものです。
化学的処理にはアセチル化、エーテル化、架橋化、酸化などがあります。
これらの処理により、糊化促進、耐老化性付与など、通常のでん粉には無い特性が付与されます。
- 化工でん粉の特徴
化工 | アセチル化(酢酸エステル化) | エーテル化(ヒドロキシプロピル化) | 架橋化 | 酸化 |
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糊化 | 促進 | 促進 | 抑制 | 促進 |
耐老化性 | 付与 | 付与 | − | 付与 |
耐冷凍性 | 付与 | 付与 | − | − |
透明性 | 向上 | 向上 | − | − |
粘性 | 増加 | 増加 | − | 低減 |
その他 |
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用途 | 製麺、製パン、製菓 | 製麺、製パン、製菓 | バッタースターチ、蒸し物、製麺、製菓(ケーキ) | 粉末化基材、 バッタースターチ、艶出し |